映画は山口県の山々を空から撮るところから始まります。小鳥の声に混じって、山の緑しか見えない景色の中に急に耕されている畑が見えて、アップされていくとそこに掘立小屋の家があり人の生活がありました。
これは電気も水道もない山で暮らすある夫婦を25年間追いかけたドキュメンタリー映画で、数々の賞を受けています。
夫は戦地に赴き、「お金より自分で食べるものは自分で作る」と言う考えで、戦後この地で暮らし自分たちの手で畑を開墾します。子供を育てるために大阪に出てきて個人タクシーの運転手をして3人の娘たちを育てますが、65歳になった時、「残りの人生はあの山で暮らしたい」と夫婦二人でまた戻ってきます。
二人で1ヶ月7万円ほどの年金収入で必要なものは自家用車で町まで30分走ってお米などを買い足す慎ましい生活です。こんにゃくを作ったり、冬に備えて山で切った木を暖房用の薪をしたり、いつも体を動かしているんだろうと思える生活です。
かけがいのない二人の山の生活にも老いがきます。
子供たちが1ヶ月に一度は山に集うようになり、松茸を探しに行くときのおばあさんの一生懸命な事、日頃は動きづらい足もこの時は元気になるのです。松茸が好きなおじいさんに食べさせてやりたい一心です。
ビール片手にみんなで焼き松茸を囲む嬉しそうな顔・・・。
老人ホームに入った夫婦はする事がなくて、ただテレビばかり見て何もしないとボケると、今度はホームから昼間は二人で車で山に通ってまた畑を耕すのです。こんな風だと原発も地球温暖化もないでしょう。
おじいさんの遺言は、大阪に出る前に山に幼木を植えて大きくなった松の木を売っておばあさんのために使って欲しいというものでした。それはおばあさんの老人ホームへ支払うお金になりました。
人間にとって何が幸せか考えさせられました。そして最後に何と天晴れな、幸せな夫婦なんだろうと暖かな気持ちになりました。
映画館は観客が8人でした。「高松からこの映画を見に来ました! よかったですね」と帰りに声をかけて帰っていく人がありました。
12月2日(金)まで阪急十三駅から徒歩5分 シアターセブン(第七芸術劇場1階下)で上映中
連日 朝10時40分から
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