「精霊の守り人」上橋菜穂子の世界 |
展示は彼女の学生時代のフィールドワーク、アボリジニの生活を彼女自身が写したものや、彼女自身が書いた物語の登場人物バルサやチャグムの人物画、「精霊の守り人」の原稿を編集者あてに出版してほしいという彼女の手紙や、物語に出てくる短槍、巻縄、油紙、など 物語の背景を垣間見せてくれるものばかりでした。
特に私が興味深かったのは、彼女の本棚でした。指輪物語、アーサーランサム全集、ナルニア国物語、ローラー・インガルス一家の物語、クローディアの秘密、トムは真夜中の庭で、などなど・・・私が好きな本がたくさん並んでいたのです。
しかも彼女は「グリーン・ノウの子どもたち」の作者ボストン夫人に宛てて、高校時代に本の感想の手紙を書き、作家の家に招待されているのです。その時に交わした英語の手紙や二人で写した写真もありました。
この日「精霊の守り人」のNHK大河ファンタジー制作秘話という講演がありました。
物語で感動しても、映像になると、想像と違うことがよくあるので、私は見ていなかったのですが、NHK ディレクターの話を聞いて、まさに物語に惚れ込んで映像化しようとしている熱心さに感心しました。画家にまず場面を描いてもらうことから始まり、セット、衣装制作の苦労など聞くと、来年から第2弾が始まるというので、見てみたくなりました。
ここで上橋菜穂子さん登場です。
肩にショルダーバックを掛け、半袖の水色系の縞模様のニットのセーターにベージュのズボン姿、飾らない人柄でした。話も自然で流暢、胸に一杯話のポケットがあり、溢れ出てくるようです。
「精霊の守り人」は一気呵成にできたそうです。バルサの声が耳元で聞こえ、匂いまでするそうです。
子供の頃、おばあさんや両親に話を聞いて育ち、将来は作家になると決めていた、そのための世界を広くするために文化人類学の研究者の道を選んだのだと。
NHK のドラマ(バルサ役は綾瀬はるか、タンダ役東出昌大)に対して、よくこの話を映像にしてくれたと感謝と喜びも語られました。
制作現場にも出向いて助言もされているそうです、まさに直球勝負の人柄がにじみ出ていました。
たくさんの質問者があり、最後には多すぎてジャンケン、それを提案され、仕切られたのは彼女自身、そのお手並みも見事でした。
ちなみに私も質問しました。何を聞いたと思いますか?
「話を聞いて映像をみたくなりました。すでに上映された精霊の守り人は再放送がありますか?」
会場は笑いが起こってしましました。
上橋菜穂子さん
「よかったです(見たいと思ってもらって)。DVDで見れますよ。それに私の対談も入っています。」と笑顔で答えてくれました。驕らない謙虚な方でした。
NHKのプロデューサーによると来年第2弾が始まる前に再放送があると思う、深夜になるかもしれませんが・・ということでした。
1時間前に会場を開けるというくらい大勢の方が参加し、ファンらしい子供達もどんどん質問して、皆んなが上橋菜穂子さんの世界に魅了されているのがわかりました。
私もこれから作品を読み進めていくのがとても楽しみです。
私も本を読んでから、ずっとあの世界が心に残っていて、NHKで3年に渡ってシリーズ化すると言う事を知ってからとても楽しみにして待っていたんです。
綾瀬はるかのバルサはほんと素晴らしかったですよ。
本から受けるイメージも映像はそんなに邪魔していませんし、第2弾も心待ちしています。
大好きな本の題名が並んでいますね。子ども達に読み聞かせをしていた頃が懐かしいです。
たまたまネットで「上橋菜穂子」と検索してたら出てきたのですよ。それも開催日の二日ほど前に、予定もなかったので、NHKの話はともかく、展示だけでもいいと思って行ったのです。ご本人は家族の介護で来られるかどうか未定でした。NHKのプロデューサーの話の途中で、会場の後方に来られてます!と紹介され本人が登壇された時は拍手喝采でした。「今、後ろで大声で笑っていたのは私です!」と飾り気なく現れて、何事にも真剣で、真面目、情熱あふれる人柄にお目にかかれてラッキーな日でした!